4月24日 L.L.Tenkara U

 イダ蔵さんと私のテンカラ談義の中で一つだけ以前と変わった共通部分がある。それはその醍醐味の一つとして認識していた”渓魚が毛針を捕えた瞬間にラインが走る”といったものである。
 実は今はそれが無いのである・・・それどころか当たりすら無いのである・・・それでも針にちゃんと乗っている・・・一転してかなり地味な釣りになってしまった感であるが・・・・
 ”予定合わせ”・・イダ蔵さんは別として実際のところ私にこれが出来ているのかは自信も自覚も無いがどうやらこれが原因らしい・・・片山悦二大先生によれば、この予定合わせを行うためには流水が読めなければならず、流水が読めれば自然にこれが出来る様になる。また、スジを流れた毛針に対する渓魚の出かたは非常におとなしく、時には池の鯉がふを食べた様な出かたをする事があるとも言われている。
 今の我々の針に乗る渓魚の出かたもこれにしかり・・・毛針の真下からひょっこりと現われパクッ!脇道から疾風の様に現われる事は殆ど無いのである。よってラインは走らない・・・更に予定合わせにより渓魚が毛針を捕らえたと同時に体が合わせを入れている・・・よってラインが止まることも無い。もちろん多少の引き込まれは有ると思うがそれは微妙なラインのたるみが調整してくれているのであろう・・・もしかしたら我々は次の段階へと進んでいるのかも知れない。実際のところ一日の釣果の半数以上をこの”予定合わせ”が占めるようになっているのだ・・・
 先週の爆!を再び夢見て今日も早朝から家を飛び出たのである!県道30号線を登っている途中でメールを受信。イダ蔵さんも出撃したらしい・・・それも我が通勤ルートのゴギロードを追って来るとの事である。谷に落ちないでね・・・と思いながらも順調にフィールドに向け黒王号を激走させる。実に03時59分の出来事であった。
 庭に到着すると先週よりも水位は一段と下がっている。こうなると渓魚も非常にナーバスになっているのである。下手なアプローチをすればたちまち逃げてしまうことはわかっているのだが・・・今日は何かがおかしい・・・
 ポイントは今期初めてとなりかなりの期待をしていたのだが・・・思うように魚は出て来ない。すでに全部さらわれてしまったのであろうか?・・・
 さしあたって開けたポイントでチャラに毛針を打っているとイダ蔵さんが心地よい排気音とともに現れたのである。道路からこちらを伺いつつも昼間の集合場所を決め下流へと下って行った。
 この藪の手前の開けたポイントにて数匹ゲットしたもののサイズ的に満足できるものはいない。そのまま藪へと突入するがそこもまた期待外れで早々に見切りをつけることにした。こころなしか焦りが感じられるままに次々と毛針を打ち込むも・・・やはり何かがおかしい・・・。
堰堤下の流れは複雑で面白い!
 堰堤下の反転流にて毛針を完全に沈め流れを上らせる。リーダー08の抵抗を有効に利用しぐんぐん上らせ白泡の辺りまで行くと再び下ってくる。これを棚を変えながら通すこと数回、何となく合わせを入れたい気分になりガツンと一発!・・・いきなり竿にテンションが掛かり一気にラインが走り出したのである!
 新竿のLLは胴から良い感じで弧を描き腕を一杯に天に突き上げても獲物は浮いてこない。数分間の格闘の末、口の曲がりかかった24センチ!良型のあまごをゲットしたのである。
 ここではもう1匹、同じ手口で追加したものの後が続かず更にポイントを移動した。
 次は過去増水時に実績があったポイントであるが何となく覗いて見たくなった。去年の台風の影響で流れが変わっている個所もあり深みが無くなっている・・・。ここでも努力を重ねるが結果が出ない・・・おまけに川辺で新鮮なイクラを発見!速攻でポイントチェンジ!
 今度は一気に下流へと下がり左岸の本流と右岸の分流を交互に打ちながらの遡行となった。ここで出た魚は重量感があり良い感じであった。


 少し調子が出て来たが時計の針は既に12時前・・・よって集合場所へと向かい、イダ蔵さんと昼飯にした。更にかずべ〜さん、和渓さんも集合してのプチオフ会である!特にかずべ〜さんとは毎回すれ違いの連続でやっとお会い出来たのでその喜びもひとしおである!ガッチリと初めましての握手をし今後とも末永い友情を誓ったのであった。かずべ〜さん!やっと、握手ができましたね!

 昼食中も色んな会話をし、誰もおごらず、誰もけなさず・・・楽しい時間が流れるのであった。食事が終わるとイダ蔵、かずべ〜、ゴギ蔵の三人はテンカラのため支流へ向かい、和渓さんは本流を攻めることに・・・それにしても減水のどぴ〜かん!魚の姿すら見えないのである。どこへ隠れているの?
テンカラ中のイダ蔵さん(左)と初登場のかずべ〜さん(右)
 昼からは完全なる向かい風が吹き荒れる・・・ラインが浮き上がるのである。更に、私の場合は朝からの不安が一気に爆発しラインがまったく持って言うことを聞いてくれないのである・・・焦る気持ちは力任せのキャスティングとなり最悪の状態!
 一方、イダ蔵さんは風を切るように完璧なラインワークで見ているこちらも気持ちが良い!すぱっ!と風を割って見事に毛針を打ち込むのである!さすがである!
 こんな感じで三人でしばらく同時遡行するもあまり状況は良いとは言えない・・・よって再び日暮れ前に集合とし分かれて釣ることにした。
 私は上へと向かい朝から数え3人目のフライマンが攻めたと推定されるポイントを選択したのである。テンカラはフライよりも釣れる!その言葉を信じ徹底的に攻撃を開始したのである。今日の個人的なヒットポイントは段落ち直前の石の頭である。ここでは見事に予定合わせが決まる。そして合わせ即抜きの運びとなるのである。
 ん?・・・夕方前の凪となったがラインが波打って着水時の毛針にテンションを掛けている・・・先々週のラインの伸びが無い・・・悩みながらも解決策は思い浮かばず日暮れ前の終了時刻となり、本日の悪戦苦闘の結果は26匹・・・・がっくりなのであった・・・。
 集合場所では既にかずべ〜さんも到着済みで、しばし別れを惜しみつつも次回の再会を誓うのである。かずべ〜さん!また、遊びましょう!そろそろ鮎も始まります。高津でもオフやりましょうね!イダ蔵、ゴギ蔵が見守る中かずべ〜さんは三葛の峠に消えて行ったのである。そして我々も再びゴギロードを帰って行くのであった。イダ蔵さんオツカレでした!また、川で会ったら遊びましょう!
本日は無念の26匹・・・


 帰りの車中にてどうも納得が行かないのは今日のキャスティング・・・思えばラインに重みが感じられなかった・・・ん?わかったのである!時すでに遅しではあるが・・・これで次からは大丈夫!正直なところ、この基本理論を知らなかったのである・・・が、本日、自力でここへたどりついたのである!たぶん次から風を切ることができるであろう!また一歩、レベルマスターに近づいた感である!

<<Back>>
Home