4月30日 L.L.Tenkara V

 29日は祭日にもかかわらず仕事であったが・・・珍しく明るい内に実家に帰ることが出来た。早速、竿を組み立て車に積む事に・・・が、急遽、先週の問題点に対する自分なりの対策が正しいのかが気になり夕暮れ前の玄関先で竿を振ることにした。当然の事、毛針は結んでいないがそれ以外は川で使用するものである。
 先ずは最近お気に入りのダイワのフロロ3号である。タイミングの改善により上手くふわっと糸が伸びたのである!これだ!お次はフロロ2号の軽量バージョン。長さは3号と同じであるがこれも上手く伸びたのだ!無風状態なので伸びて当然なのだが手尻2ヒロもあるラインが上手く伸びたのでL.L.初心者としてはうれしい限りである。実際にはこれにピックアップの反動もプラスされる予定。私の考えも全くの的外れでは無かったので安心し、明日のフィールドでの実釣あるのみと成ったのだ!

 03時、休日の幕開けを告げるベルが鳴り響く!仕事の疲れもそっちのけでエンジン始動!川へ向かって一直線である!本日もゴギロードにてショートカットし、まだ薄暗い匹見本流にて準備を整えるのであった。ラインが認識可能となればすぐさま竿を手に・・・もちろん他の釣り人も無く何処でも自由に竿が出せるのである。水位は先週にも増して減水し高プレッシャーが予想される。そうであれば太陽が昇るにつれ魚も出てこなくなるのではなかろうか?
水は少ないが本流の絞った瀬は水深もある
 竿を振っていると橋上にイダ蔵さんの車が停車した。別段何も打ち合わせした訳でもないのに休日となると良くこの辺りで出くわすのである。イダ蔵さんも同じ考えらしく朝方は本流筋を攻め昼から支流・・・実はこれには別の意味合いもあるのだが・・・。
 早速着替えを済ましイダ蔵さんも合流点下流にてテンカラを開始!もちろんL.L.であることは言うまでも無い。今日もプラズマラインで武装した2本の飛仙翔が空を切るのである!そして電光石火のごとく獲物をしとめる予定である。
 昨日この場所にてどのようなドラマが展開されたのか知るはずも無くここぞと思しきポイントを一つ一つ攻めて行くのである。そして比較的水深のある瀬にてグッドサイズがヒットしたのであった!その直後も同じスジにてヒットするも引き抜き後の受け損ないにより悲しくも川に帰って行ったのである。
本日、第一号!
 本流筋の予定ポイントまでのつまみ食いを終え次は支流へ・・・支流も渇水は変わらずで非常に厳しいのであった。それでもぽつり・・・ぽつり・・・と非常にスローに努力を重ねて行くのである。
 どんどん遡行し何時もの段々瀬に到達!ここも一つ一つ丁寧に探って行くが・・・出てこない・・・小堰堤下も丹念に攻めるが×である。ふと後ろを振り返ると橋上にイダ蔵さんの車が停まっている。本流筋を一流ししこちらへ上がってきた様子である。軽く手を振り挨拶し更に上へと向かっていった。次に振り返ると今度は和渓さんの車が・・・本日はサツキ狙いとの情報なのでそのまま本流へと行かれたのであろう。
スローに追加!何時もの澄んだ流れがこの後・・・
 大したヒットも無いままに次の堰堤へ向かい遡行していると川が薄っすらと濁って来た・・・どぴ〜かんで雨も降っておらず何故なのだろう?それでも引き続き毛針を打ち込み続けるが・・・川が白く濁り底が見えなくなったのだ・・・原因は田んぼの水である・・・田植えに向け機械で作業をされているのである・・・それが延々と川に流れ込んでいる。水深のあるポイントは毛針を打っても無意味な感じすら覚えるほどである。更には上から風も出てきて状況は最悪に成って来た。
イダ蔵さんが撮ってくれたテンカラ中の私
 そんな具合でテンションも下がり気味となり集中力も散漫に・・・何気なく土手を振り返ると・・・イダ蔵さんがじっとこちらを見つめていた。何の気配も無かったので正直驚いてしまった。そのまま会話をしながらもイダ蔵さんの目の前の攻め残しポイントに数回毛針を打ち込む。テトラ上部の反転流に上手くねじり込み一呼吸起き予定?合わせを入れると・・・ぐわ〜ん!飛仙翔が胴から満月になるのである!そこから引きずり出し手前まで寄せると頭を激しく左右に振る大きなギラギラが目に飛び込んで来る。間違い無い!渓魚である。それもグッドサイズ!・・・そのまま川原へ竿で引きずり上げタモに納めたのである。イダ蔵さん曰く「悪いものを見た・・・」とのこと。朝釣った本流での魚のサイズも良くご機嫌のイダ蔵さんであったが・・・これには及ばずで少しテンションが下がった様子。
24センチの幅広!!
 良型ゲットで調子付いた私はその後もテトラ間の狭いポイントで1匹追加!イダ蔵さんも土手から降りて来て我がLLを交互に打ち込む!それにしてもイダ蔵さんのキャストは見ていて非常に気持ちが良い!そのラインのスピードたるや凄まじく!向かい風もスパッと切り裂くのである!少し大げさに言うならばラインで真空状態を作り出している様だ・・・まさにかまいたち投法である!その技の秘密は黄金の右腕に隠されていた・・・「凄いね〜!もしかして卓球しよった?」「いや!テニスしよったよ〜」イメージ的には卓球であったが・・・「スパッと気持ちいいね〜僕のはふわ〜としか行かん」「でもそれが正解なんかも?何でこうなるんか自分でも分からんのんよ〜」無意識の内にイダ蔵さんはその形を完成させたのである。そしてその形は徳島の片山大親分からも少し褒められているのである。恐るべしかまいたち投法!・・・卓球ではなくテニスからそのヒントが得られるかも知れない・・・が、その俊敏な動きは卓球の様な感じであるが・・・。
 こんな会話をしながらも下からの打ち込みを終えた我々は上に回り込み逆引き大会と成ったのである。しかし、いつもなら出てくるであろうスジでも全くの無反応・・・濁り水と絶えず水面を流れ来る木の葉等により渓魚も困惑気味なのであろうか・・・?それにしても今日はいつもにも増して多くの草木が流れてくるのである・・・。
元祖?かまいたち投法!のイダ蔵さん
 さあ、次どこ行く?本流出てみますか?・・・お次は合流点から少し下がった良い感じの瀬に車を停め、小さな支流にある階段を利用し川へと下りたのである。そこで私の目は支流へ・・・「ここ釣ってから本流行くよ、先に行っといて・・・」よってイダ蔵さんは本流へゴギ蔵は支流へとラインを伸ばすのであった。
非常に狭いが良い感じ!
 支流は所々に溜りがあり良い感じで私を誘っている・・・準備が出来ればすぐさまタンパクエボリュ―ションを捻り込むのである!行け〜!がつ〜ん!びゅ〜ん!ラインが気持ちよいほどまっすぐに突っ走ったのである!よし!っと気分良く取り込んだのは20センチのハヤ・・・えっ?こんな筈では・・・。スジを変え次こそは・・・すっ!・・バシッ!ぐわん!今度は良型のヤマメである!やはり渓魚は毛針の食べ方もお上品であった。
 そしてここで3匹ゲットした時点で川幅がとんでもなく狭くなり・・・おまけに蜘蛛の巣が多く2〜3度打ち込まないと水面に毛針が落ちない状況に・・・よって断念し本流へ!
 来た道?川?を下り、先ほど入川した階段付近にさしかかると本流筋に行った筈のイダ蔵さんが戻って来た。本流は反応が無い・・・再度、場所チェンジである。心当たりのあるポイントは・・・集会所近辺?と言う事でそこへ直行し川を見ると・・・白濁りと向かい風である。それも風は突風である。どうする?まあ、やって見ますか?・・・と言う事で修行の始まりとなったのである。予想以上に突風のパワーは凄まじくタイミングを見計らってのキャストと成ったが・・・上手く着水してもラインが風に流され毛針が綺麗に流れないのである・・・数百メートル努力を重ねるも・・・バレ1本以外は反応ゼロのゼロ釣法!厳しい結果となったのだ。イダ蔵さんも同じくバレ1本。15時過ぎに納竿し16時に解散となったのである。「いや〜今日は厳しいね・・・10本捕れたら良い方でしょう」とお互いが納得しイダ蔵さんは去っていったのである。お疲れです!またテンカラ教えてくださいな〜。
イダ蔵さんお疲れ!心地良い排気音とともに嫁と子の元へと帰って行ったのだ。
 私はと言えば・・・いつもの悪足掻きが炸裂するのである・・・風よけには藪である・・・よって遡行あるのみ。ポイントに到着し竿を振るも・・・反応が無い・・・やっと来た獲物も本流に比べれば面白みが無いのである。直ぐに本流へ行くべし!夕方なら食ってくれるでしょ〜。またもや激走!目指すは今夜のキャンプ予定地の桜の木。ここに黒王号を繋いで下流の橋近辺から攻め上がる作戦に出たが・・・反応ゼロ!・・・凄い形相にて竿をぶんぶん回している私を不思議そうな顔で観察しながらも犬の散歩をさせている老人が立ち止まる・・・またもや犬を連れたお姉ちゃんが土手を通過する・・・そして日が暮れ始め通行人も無くなった・・・ラインのマーカー部も見えなくなってきたのである。今日は終わりかな・・・と思いながらも瀬肩の石の頭にて・・・がつ〜ん!ラインに乗った様だ!久々のヒットで嬉しくなる。上手く取り込みお次は護岸沿いのポイント。イダ蔵さん情報では絶対に出るとの本命スジである。
 息を殺しての数投目であった・・・ラインに異常を感じる前の予定合わせに重圧がのしかかるも・・・ばらしてしまった・・・無念・・・・タイミングがほんの少しずれていたのであろう。良型だったのに・・・。
 本日はこのバレを最後とし納竿とした。そして晩飯の準備に取り掛かるのであった。私には珍しくカレーライスとカップヌードルで腹を満たすと周囲が暗闇に包まれ安らぎの時間が訪れた・・・そして深い眠りに落ちて行く。今日は16匹・・・かなり渋い食いである、明日は釣れるのかな?このまま退散したほうが良いのかな?まあ、朝一に毛針振ってから考えよう・・・明日は雨かな?・・・・久々の楽しい車内泊と成ったのだ・・・・・おやすみなさい。

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