5月1日 L.L.Tenkara W

 ザー!ザワザワッ!・・・風と雨の音で目を覚ますと周囲は薄明るくなり始めている。いつもなら元気に飛び起きるのであるが・・・昨日の不釣がかなり精神的にも影響しており今日もこてんぱんにやられそうな不安が頭から離れない・・・おまけに非常に強い雨、風・・・まるでプチ台風の様である。どうする?ゴギ蔵。水位も昨日よりは少し上がった感である。もしかしたら渓魚達はこの雨で喜び勇んで瀬に出て来ているかも知れない・・・もしかしたらがむしゃらに餌をぱくついているかも知れない!とてつもなく低いテンションを少しでも上げるべく良いイメージを必死に湧かせ車から外へ飛び出るのであった。
風雨の真っ只中!
 差し当たっては昨日最終バラシの護岸筋を尋ねてみた・・・ここにいるのは分かっているのだが・・・どうやら見破られているらしい。まったく毛針に反応しない。さっさと諦め次は・・・イダ蔵さんお得意の支流へとそのまま遡行した。昨日のイダ蔵さんの話通りにここの最下流部のポイントは渇水ぎみで完全に潰れている・・まだ良くは分からないがテンカラにはある程度の流速が必要だと感じている。よって流れの少し上流の絞りに適当な流速を発見し第一号ゲットとなったのである。
暗いのでフラッシュが反応!よってマークが写ってませんね。
 
 今日は雨の影響で水嵩が少しずつ上昇しておりそれが原因で木の葉が大量に水中を舞って流れてくる。昨日よりもゴミが多いのである!テンカラには厳しい状況であることは言うまでも無い。それに光線の関係で進行方向の水面が反射しラインのマーカー部分が認識不可能!それどころかラインそのものが見えない場合が多々あるのだ。そんな中においても上の美味しいであろうポイントも当然攻めたいのである。しかし、見えない・・・見えない?・・・ 
 「テンカラは見なくても釣れる・・・片山大名人のお言葉がふと浮かんできた・・・が、当然そんな事がこのゴギ蔵に出来るはずも無い・・・しかし状況が状況であるだけに・・・真似事でもしてみよう、レベルマスターに一歩でも近づく為に・・・
 先ずはポイントまでの距離を予測し間合いを取り毛針を上へと打つ・・・たぶん予定ポイントへ入っている。次は流速を予測しそれに合わせて竿を起こし一定の糸ふけをキープしているつもり・・・次の予定ポイントに来たと思ったらピックアップ!ここに獲物が居ればズバリ予定合わせとなるのである!考えるのは簡単であるがやるとなればやはり難しいのである。まさにイメージの世界で魚釣りをしているのである。
 上部のポイント以外は光線の妨げは無く美味しいポイントは丸見えであると言うか今日は不思議なことにビデオでも見ているかのようにポイントが丸で囲まれているのだ!もちろん実際の視覚的な事ではなくイメージの世界の視覚である。何となくテンカラマシーンにでも成った様な気分である。そして今日は何かが違う様な・・・。
 思った通りに本命の丸で囲まれたポイントでゲット!段落ち直前の石の頭でも予定合わせでゲットとなった。
 更には先ほどからチャレンジしている心眼チックな釣法でも・・・遂に針に乗せることが出来たのである!正直なところ大興奮である!何か違う世界を一瞬覗き見た気分である!心と言うよりむしろ頭の中にその釣法は存在しその自分のイメージの世界に現実の世界の渓魚を引きずり込んだ感じであった。正に悟りの境地的な不思議な釣りである。
 こんな感じでしばらくここを遡行するも雨は降り続き遂には濁りが出てきた。ゴミも多くなり予定合わせに木の葉がくっ付いてくる始末・・・ここは止めよう。即ちポイントチェンジである。
 お次は私の好きな支流!その小学校の真裏のポイントは昨日、訳あって攻めてないのである。思った通りに僅かではあるが竿を曲げることが出来、そのまま遡行!昨日攻めたポイントへ進入。が・・・当たりは全く無い!水量は確実に昨日よりも増えているのだが・・・鮎と違い水が出ても渓魚は深みから出てこないのであろうか?それともすでに釣られてしまって居ないのであろうか?・・・堰堤上からの逆引きにも無反応・・・止めよう。最近入ってないポイントへ行こう。更に黒王号を上へと走らせる!
 上流部の開けたポイントにて川の様子を見る・・・しかし、釣れるかどうかは分かる筈が無い・・・よって竿を出すことにした。ここも薄っすらと濁りが出ており居るならば警戒心が少し薄れていると思われる。瀬から打ち込み、流れ込みの反転流、芯、その上の段落ちの溜りを順調に攻略し遡行する。特に段落ちぎりぎりの石の頭は非常に釣りやすく予定合わせが上手く決まるのである。そしてそのままタモへと引き抜くのである!ガツン!バシッ!テンポも良く気持ちが良い。私の大好きなポイントである。
 そして次の段の攻撃時にトラブルが発生!合わせた瞬間にラインブレイクと成ってしまった。すぐさま仕掛けを直し同筋を攻撃!まだ何となく魚が居る気配が伝わってくるのだが・・・なかなか出てこない。それでも負けない!絶対食わせてやる・・・もう食ってもいいよ・・・お願い食って・・・。と、その刹那ラインに僅かに何かが触れたのである。もちろん速攻合わせで針に乗ったのである。こいつは元気の良い奴で一気に瀬を駆け下り、それを追っかけゴギ蔵も慌てて石を飛び跳ねたのである。下の浅瀬でそのままズリ上げ無事にタモへ・・・またもやイダ蔵さんの気分を悪くさせるようなサイズであった。イダ蔵さん今日は見ずに済んで良かったね!LLが胴からひん曲がってましたよ。切れるはずの無いラインであってもナイスファイトで切れそうな緊張感がたまらなく心地よかったです。
 その後もチャラを遡行し本命予想ポイントにて数引きゲット!そして時刻は17時となり本日はこの辺で勘弁してやることにしたのである。
写真は2日分の42匹!
 本日釣果は26匹に留まったが頭の中でのイメージを重視したテンカラだっただけに非常に充実感が漂うのであった。また、イメージすることで自ずとトレースしたいスジが浮かび上がり、そして、そのスジに入れるための毛針の着地ポイントを追求するようになる。これを何度か繰り返すうちに本命のスジが見えて来るのであろう。そうなれば余分な動作は全てカットでき効率よくポイントを攻略出来るのだと思う。もちろん数を釣るだけが釣りの面白さではないが・・・釣れないより釣れた方が楽しいのも事実ではなかろうか?まあでも釣れなくても次の攻略法を考える楽しみもあるし・・・結局、釣れても釣れなくても釣りは楽しいのである!

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